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23.あなたの会社は本当に株式で売れますか?

2019年1月20日


M&Aで会社を売却したいと相談に来られた会社のオーナーさんに聞けば、ほぼ全員が株式での売却を望まれます。
自分の会社が売れるのかどうかや、幾らで売れるのかを不安に思っているオーナーさんはいらっしゃいますが、株式で売れるのか事業譲渡でしか売れないのかを心配しているオーナーさんは見た事がありません。
自分が株式で売りたいと望めば、買手は株式で買うものだと思っているのです。
株式で買わないのであれば、初めから交渉しないし、仮に途中でそのような話になれば断れば良いだけだと思っているのです。
しかしながら、買手からすると株式で買えるか事業譲渡でしか買えないかは、デューデリジェンスの結果を見なければ最終結論は出せないのです。
つまり、買手はそこまでにデューデリジェンスの費用として数千万円を使っているのです。
ですから、初めから株式で買えるかどうかは買手にもわかりませんので、初めから交渉しないと言う選択は難しいと言えます。
更に言えば、デューデリジェンスの後に株式で買えない事が発覚して買手が断れば、数千万円のペナルティーを払わなければならなくなります。
仮に、それでも構わないと次の買手候補と交渉しても何が原因で事業譲渡になったのか相手側のデューデリジェンスの報告書を見せてくれることはありませんので、原因が解らないままチャレンジすれば同じ結果になります。
それではペナルティー費用だけがかさむ事になります。
仮にそのような事態になったとしてM&A仲介会社に聞いても、仲介が仕事ですからそのような分析能力は専門外になり適切なアドバイスはもらえないでしょう。
仮に専門家のFAであっても、デューデリジェンスの結果は変える事はできません。
一番良いのは、事前に専門家のチェックを受けて、特に財務や法務の観点から株式譲渡では問題になりそうな部分を解決しておいてから売りに出せば、かなりの確率で株式譲渡が可能になります。
会社を売却して引退する場合には、売却金額が大きければ大きい程、株式売却と事業譲渡では税制の有利不利が大きく作用します。
手取り金額が2倍以上違う事もあり得るからです。
自分の会社が株式で売れるのかどうか検証もせず、安易に株式でなければ売らないと言う気持ちだけで突き進めば、事業譲渡になってしまい税制の不利を承知で売らなくてはならなくなるか、数千万円のペナルティーを払って取引を中止するかになってしまう危険にさらされる事になります。
勿論、これらの話は一定の規模(売却額が少なくとも数億円以上)以上の会社に適用されるものです。
数百万円から数千万円で取引される規模の会社については、買手も素人なのでデューデリジェンスを行わない場合が多く、何も考えずに株式で購入して、後で大変な事になる場合があります。
価格さえ合えば、いきなり吸収合併してしまい本体まで犯されてしまい倒産した会社もあります。
小さな会社の売買はデューデリジェンスに費用を掛けませんので、基本はSPCを立てて事業譲渡を行い問題が発生しないかしばらくウォチングしてから吸収合併を行います。
ですから、必ずしも株式で売却できるとは限らないのです。

 

 

 

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