ブログ

7.債務超過なのに減資を薦める税理士さん?

2018年7月5日

先日、ある会社から相談を受けました。
その会社の業績は回復しており、営業利益は1500万円も出ておりました。
それで要約1000万円あった債務超過が解消され500万円の資産超過になり、本格的な融資も受けられる状態になる処でした。
処が、税理士さんがわざわざ昨年と一昨年の申告を修正して1000万円の損失を出してしまっていたのです。
つまり500万円の債務超過に逆戻りしてしまったのです。
しかも、4000万円あった資本金を3000万円減資して、資本金を1000万円に減らしてしまったのです。
理由は全て節税につながるからと言う事だそうです。
その代わり、まともな融資が受け辛くなると言うリスクを全く考えていません。
幸い、業績が伸びているので短期の融資は受けられているようでした。
しかしながら、ひも付きの短期融資はリスケ中の会社でも受けられる可能性のある融資です。
通常の長期融資は受け辛い訳ですから、リスケ中の会社と同じ扱いである事を経営者も気づいておりません。
それにこの減資を行った決算書を金融機関に出せば評価は下がる事は間違いないでしょう。
基本的に減資は、業績の悪い会社が事業再生の一環として使う手法ですから、決してイメージは良くありません。
金融機関からすれば、3000万円分の赤字を資本金と相殺した訳ですから、累積赤字が減って急激に黒字化しても本当の実力と見なせない訳です。
それよりも、債務超過を脱して累積赤字を実力で解消して行く方が好印象ですし、本当の意味で立ち直った事が確認しやすい訳です。
もし、節税のためだけに減資を行うのであれば、累積赤字を解消した後でやれば良いのです。
勿論、税理士事務所に全く悪気はないどころか、節税に知恵を絞って凄い提案をしたと思っています。
このことは、税理士さんが悪い訳ではなく、経営者が経理と財務の違いを理解していない事が原因となっています。
会社を運営するには色々な要素が必要ですが、重要な3つを言えば、資金を手当てし商品を手に入れ販売して利益を出す事で成り立つ訳です。
その中の資金を手当てする事(財務)を担当するのが税理士さんだと勘違いしてしまっているのです。
税理士さんは、あくまでも経理を担当し決算を行い税務署に税金の申告書を提出してくれるのが、現実的な役割です。
つまり税理士さんの多くは、会社を運営する重要な3つの要素のどれにも該当しないのです。
しかしながら、税金を支払うのは義務ですから、必ず申告をしなければならない訳ですが、その決算書や申告書が複雑過ぎて素人では申告できないから、お願いしているのです。
ですから、多くの中小企業では、「資金調達」と「商品の仕入や開発」と「販売」は経営者の仕事になっています。
前述の税理士さんからの提案は節税であり、重要な3つの事項を阻害するものであれば、経営者の判断で断らなければならないのです。
税理士と言う専門家の資格を持った方の提案だから経営に取って正しいとは限らないのです。
あくまでも節税の提案として正しいと言うだけなのです。
今まで、税理士さんに決算を任せきりにしたり、税理士さんの提案に全て「イエス」と言って
来たために、資金調達が出来ずに手遅れで相談に来られた方が沢山います。
勿論、税理士さんが悪い訳ではありません。
彼らの多くは自分たちの役割を果たしております。
多くの原因は経営者が税理士さんが何を役割としているのかを把握されていないと同時に、財務について関心がない事から始まっています。

 

 

お問い合わせ

ご相談は、お電話またはメールフォームにてお気軽にご連絡ください。

お問い合わせ:03-6717-4600
お問い合わせ

ページの先頭へ